5.1ch等のマルチチャンネル向けにパンニングしても再生環境が2chしかない場合、フロント出力成分だけを使用して再生を行うとサラウンド成分の音が消えてしまいます。 ADX では、再生環境に合わせてダウンミックス処理をすることで、サラウンド成分を含めた2chミックスを生成します。
サラウンド成分を3dB下げてフロントスピーカーから鳴らします。 (4ch->2chへのダウンミックス)
サラウンドバック成分がある場合、サラウンドバック成分を6dB、サラウンド成分を3dB下げてフロントスピーカーから鳴らします。 (6ch->2chへのダウンミックス)
ダウンミックスの共通の注意点として、音量が大きくなる傾向があり、4chミックスですでに音が大きい場合、ダウンミックス分で音が割れてしまう場合があります。 そのため、音量が最大にならないように余裕をもたせることが必要です。ヘッドルームを十分にとるといった言い方もあります。
さらにセンタースピーカーへの信号も3dB下げてL,Rへ配分します。
LFEについては、用途が特殊で、空気を振動させる目的の聞こえない音程で強力な音を鳴らす場合 これらをダウンミックスすると問題になります。 そのため、LFEへの信号はL,Rへダウンミックスしません。
ADX 側でダウンミックスをしない場合でも、各機種のサウンドデバイスが、再生環境に合わせてダウンミックスする場合があります。 例えばPS4/PS5, Xbox One/Seriesなどでは、システムソフトウェアの設定や、接続された再生環境によって、システム側でダウンミックスされます。
ADX でのダウンミックスとは別に、データ側でダウンミックス設定を行うこともできます。
バスエフェクトのマトリクスを使うことでそれぞれのスピーカーの出力先、出力レベルを変更することができます。 ハードウェア側でのダウンミックスがサポートされていない場合などにエフェクト処理としてダウンミックスを行うことができます。