パン

ゲームの画面は2Dですが、3D空間上に音源を置きたい場合があります。

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実際にはスピーカーは耳の高さに水平な位置にあるものに制限されることが多く ステレオスピーカー、5.1ch、7.1chなど様々な配置があります。

もし、出力が2chか5.1chかでそれぞれ個別にパンを指定する場合データ作成に手間がかかります。

ADX ではパンという項目で、これらパンの設定を共通化できる仕組みを用意しており、 特別な場合を除き、このパンを推奨しています。

例えば、左スピーカーから再生される音は-30度の位置、 右スピーカーから再生音は+30度の位置 と指定します。 これを角度パンと呼びます。

角度を後ろのスピーカーまで拡張したものがパン(サラウンド)となります。 前側だけ使っていれば、2ch,5.1chの両方のパンデータとして作成できます。

AISACやトラックオートメーションでも角度の概念でパンコントロールをすることができるため、 キュー、トラックといった階層をもった形でパンの位置を保ったまま相対的に回転させるといったことができます。 (各レイヤーに座標空間があるイメージ。実際は加算されます。) 少しだけ位置をランダムにするようなことができます。

後ろにまわった音は2ch出力の時どこへ行くか?

サラウンド側にまわってしまった音について、ADX 内部で最終的な2chダウンミックスを行う場合はサラウンド成分を-3dBしてフロント側に折り返して出力します。
再生環境側(PC、ゲームプラットフォーム等)で2chダウンミックスを行う場合は、それぞれの仕様に準じた処理が行われます。

モノラル波形での音量変化について

ADX では、音源の角度を変化させる場合に、等距離で音量が変化します。

元の波形がモノラルで、角度0度(正面)で再生しているのですが、 この場合、等距離のパンニングが行われるため、レベルメータとしては-3dB下がったように変化します。

これは、元の波形エディタが、モノラル時にどのように再生するかに依存しています。 Lchの信号をそのままRchから出力することはよくあります。

ADX では360度でパンニングが可能です。 等距離のパンニングが行われます。

例えば 元素材がモノラルの場合、 角度を -30度に設定する。 Lスピーカーから元の素材と同じレベルで出力されます。

もし、元のモノラル波形をL,Rに流したような音量で鳴らしたい場合は、 モノラルの素材は3dB音量を上げる方法が考えられます。

この場合、角度を変化させて、スピーカー位置に定位する時に音量が大きくなりすぎる場合がある点を注意する必要があります。 また、これらをモノラルミックスした場合も同様に音量が大きくなることが予想されます。 十分なヘッドルーム(音量が超えないようにマージンを持つ)ことでも対処可能です。

なお、ステレオ素材、5.1ch素材の場合は、元の音量が保たれます。 リアがない場合など-3dBでフロントスピーカーから出力されるなどのダウンミックスの処理に依存して変化します。