CRI ADX  Last Updated: 2024-11-26 16:51 p
エラーハンドリング


本チュートリアルでは、エラーコールバック機能を使ったエラーハンドリングについて説明します。

再生に必要なファイル

ランタイム側で必要なデータファイルはありません。本チュートリアルでは意図的にエラーを発生させ、オーディオ処理を行わずに終了します。

プロジェクトファイルとソースコード

チュートリアルのプロジェクトファイルとソースコードは以下の場所にあります。


チュートリアルソースコードの場所
  * cri

  \ * pc

    \ * tutorials

      \ * criatomex

        \ * error_handling

          o * pcvc

          | o * error_handling.sln

          | o * error_handling.vcxproj

          | \ * error_handling.vcxproj.filters

          |  

          \ * error_handling.c

 

[プラットフォーム固有]

: チュートリアルプログラム

 

: エラーハンドリングチュートリアル

: プロジェクトファイルフォルダー

: Visual Studio ソリューションファイル

: Visual Studio プロジェクトファイル

: Visual Studio フィルターファイル

 

: エラーハンドリングチュートリアル

 


プログラムの流れ

プログラムの流れを以下に示します。
  1. ヘッダーファイルのインクルード
  2. エラーコールバックの登録
  3. CRI Atomライブラリの初期化
  4. エラーコールバックを起こす
  5. 終了処理
  6. エラーの確認
/* CRI SDK Header */
#include <cri_xpt.h>
/* CRI ADX Headers */
#include <cri_atom_ex.h>
#include <cri_atom_wasapi.h>
/* main 関数 */
CriSint32 main(CriSint32 argc, CriChar8 *argv[])
{
/* 最低限の初期化 */
tutorial_initialize();
/* エラーコールバック関数の登録 */
criErr_SetCallback(tutorial_error_callback_func);
/* メモリアロケーターの登録 */
criAtomEx_SetUserAllocator(tutorial_alloc, tutorial_free, NULL);
/* ライブラリの初期化 */
/* ACFファイルの読み込みと登録 */
criAtomEx_RegisterAcfFile(NULL, NULL, NULL, 0);
/* ライブラリの終了 */
/* 最小限の終了処理*/
tutorial_finalize();
return 0;
}
/* エラーコールバック関数 */
static void tutorial_error_callback_func(const CriChar8 *errid, CriUint32 p1, CriUint32 p2, CriUint32 *parray)
{
const CriChar8 *errmsg;
UNUSED(parray);
/* エラー文字列の表示 */
errmsg = criErr_ConvertIdToMessage(errid, p1, p2);
tutorial_printf(errmsg);
return;
}
CriBool criAtomEx_RegisterAcfFile(CriFsBinderHn binder, const CriChar8 *path, void *work, CriSint32 work_size)
ACFファイルの登録
#define criAtomEx_SetUserAllocator(p_malloc_func, p_free_func, p_obj)
ユーザアロケーターの登録
Definition: cri_le_atom_ex.h:313
void criAtomEx_Initialize_WASAPI(const CriAtomExConfig_WASAPI *config, void *work, CriSint32 work_size)
ライブラリの初期化
void criAtomEx_Finalize_WASAPI(void)
ライブラリの終了
const CriChar8 * criErr_ConvertIdToMessage(const CriChar8 *errid, CriUint32 p1, CriUint32 p2)
エラーID文字列からエラーメッセージへ変換
void criErr_SetCallback(CriErrCbFunc cbf)
エラーコールバック関数の登録

プログラムの解説

各処理の詳細について説明します。


1.ヘッダーファイルのインクルード


/* CRI SDK Header */
#include <cri_xpt.h>
/* CRI ADX Headers */
#include <cri_atom_ex.h>
#include <cri_atom_wasapi.h>


cri_xpt.hは、CRI独自の型定義等が記述されているので、一番最初にインクルードします。 他のヘッダーファイルについては、インクルードする順番に依存関係はありません。


cri_atom_ex.hは、CRI Atomの機能を使うためのAPIが宣言されたヘッダーファイルです。 必ずインクルードしてください。


2.エラーコールバックの登録


CriSint32 main(CriSint32 argc, CriChar8 *argv[])
{
/* エラーコールバック関数の登録 */
criErr_SetCallback(tutorial_error_callback_func);
:
:
:
}
/* エラーコールバック関数 */
static void tutorial_error_callback_func(const CriChar8 *errid, CriUint32 p1, CriUint32 p2, CriUint32 *parray)
{
const CriChar8 *errmsg;
UNUSED(parray);
/* エラー文字列の表示 */
errmsg = criErr_ConvertIdToMessage(errid, p1, p2);
tutorial_printf(errmsg);
return;
}


CRIランタイムライブラリ全体で共有するエラーコールバック関数を登録します。 エラーコールバックの登録には、::criErr_SetCallback 関数を使用します。
CRIランタイムライブラリ内でエラーが発生した場合に、ここで登録した 関数が実行されます。
エラーコールバック関数にはエラーID、エラーメッセージ、場合によってエラー固有の引数が渡されます。 criErr_ConvertIdToMessage 関数を使って文字列に変換し、デバッグ出力等でエラーが起きている事を判断できます。
エラーコールバックを使う利点は、メイン処理と非同期に発生するエラーを捉えることが可能な点、 戻り値と異なり、エラーの情報をある程度詳しく知ることが出来る点です。 ( 関数の戻り値によるエラー判定が不要というわけではありません。) 特に、エラーIDは問題発生時に原因調査に役立ちます。


3.CRI Atomライブラリの初期化


/* メモリアロケーターの登録 */
criAtomEx_SetUserAllocator(tutorial_alloc, tutorial_free, NULL);
/* ライブラリの初期化 */


CRI Atomライブラリを初期化します。初期化の詳細については他のチュートリアルを参考にしてください。


4.エラーコールバックを起こす


/* ACFファイルの読み込みと登録 */
criAtomEx_RegisterAcfFile(NULL, NULL, NULL, 0);


criAtomEx_RegisterAcfFile 関数を使用してACFファイルをランタイム側で読み込みます。 本チュートリアルでは意図的にエラーを起こすために、ファイル名にNULLを指定します。
ファイル名にNULLを指定して::criAtomEx_RegisterAcfFile 関数を実行したため、 エラーが発生し、::criErr_SetCallback 関数で登録したtutorial_error_callback_func 関数が実行されます。


5.終了処理


/* ライブラリの終了 */


本チュートリアルではを初期化しただけなので、 終了処理では::criAtomEx_Finalize_WASAPI 関数を実行するだけです。


6.再生の確認
本チュートリアルを実行すると、エラーが発生し、デバッグ出力ウィンドウに以下のエラー情報が出力されるはずです。(デバッグ実行する必要があります。)


E2008073181:Invalid parameter.
E2010052671:Can not open ACF file. (path = (null))
「E」からはじまる数字列がエラーIDで、発生したエラーに固有の番号です。「:」以降がエラー内容です。
本チュートリアルは以上です。