CRI ADX  Last Updated: 2024-09-25 17:41 p
エラーハンドリングについて
本項では、CRI Atomライブラリが取り扱うエラーの種別や、エラー検知の方法について説明します。

エラーの種別について

エラーには、大きく分けて以下の2種類があります。
  • 致命的なエラー(起きてはいけないエラー)
  • 起こり得るエラー(正常な運用方法でも起こり得るエラー)
致命的なエラーとしては、関数に不正なアドレスが渡されたり、メモリ不足で処理が継続できない場合等があげられます。
これに対し、起こり得るエラーとしては、デバイスの読み込みエラー(ディスクメディアの表面に汚れが付着してデータが読めない場合)等があげられます。

CRIミドルウェアでは、これら2種類のエラーに対し、それぞれ以下に示すエラー検知方法を提供しています。

「致命的なエラー」について

致命的なエラーを検知する仕組みとして、CRI BaseライブラリにCRI Error APIが用意されています。

CRI Errorは、CRI製のライブラリで共通に利用可能な、エラー処理専用のAPI群です。
CRI Atomライブラリに限らず、CRI AudioライブラリやCRI File Systemライブラリ等、エラー処理にCRI Errorを使用しているライブラリ群に関しては、共通の手続きでエラー情報を取得可能です。

CRI Errorは致命的なエラーを検知する方法として、"コールバック関数によるエラー通知"の仕組みを用意しています。
コールバック関数によるエラー通知
criErr_SetCallback 関数にエラーコールバック関数を設定することで、 致命的なエラーを検知することができます。
コールされた関数には、エラーの原因を特定するために必要な情報(文字列など)が渡されます。

コールバック関数を使用してエラーをハンドリングする場合、処理の流れは以下のようになります。
  1. CRI AtomライブラリのAPI実行前(初期化処理よりも前)に、 criErr_SetCallback 関数を使用し、エラーコールバック関数を登録する。
  2. CRI AtomライブラリのAPIを実行する。
  3. 関数内でエラーが発生した場合、手順(1)で登録したコールバック関数が呼び出されます。エラーの内容に応じて適宜エラー処理を行う。
具体的なソースコードは、以下のようになります。
/* エラーコールバック関数 */
void user_error_callback_func(const CriChar8 *errid, CriUint32 p1, CriUint32 p2, CriUint32 *parray)
{
const CriChar8 *err_message;
/* エラー発生時はこの部分に処理が移ります */
/* 引数群にエラー情報が入っていますが、 */
/* そのままでは可読性が悪いので、一旦書式を変換します */
/* エラー情報を書式化されたエラー文字列に変換 */
err_message = criErr_ConvertIdToMessage(errid, p1, p2);
/* エラー情報をデバッガーに出力 */
OutputDebugString(err_message);
/* エラー処理 */
}
/* メイン処理 */
main()
{
/* エラーコールバック関数の登録 */
/* 備考)この処理は1度実行するだけでOKです */
criErr_SetCallback(user_error_callback_func);
/* CRI AtomライブラリAPIの呼び出し */
}
CriBool criAtomEx_Initialize(const CriAtomExConfig *config, void *work, CriSint32 work_size)
ライブラリの初期化
const CriChar8 * criErr_ConvertIdToMessage(const CriChar8 *errid, CriUint32 p1, CriUint32 p2)
エラーID文字列からエラーメッセージへ変換
void criErr_SetCallback(CriErrCbFunc cbf)
エラーコールバック関数の登録



[重要]デバッグ版ライブラリについて
CRI Atomライブラリには、リリース版ライブラリの他に、デバッグ版ライブラリが用意されています。
リリース版ライブラリでは、アプリケーションが呼び出す関数の引数や、プラットフォームの提供する関数の入出力チェック等、最小限のエラーチェックのみを行っています。
これに対し、デバッグ版ライブラリではエラーチェックが強化されています。
(ライブラリ内部のパラメーターが不正になっていないかどうかや、ハンドルの整合性等もチェックします。)

アプリケーションでアクセス違反等の問題が発生しているにも関わらず、リリース版ライブラリでエラーコールバックが発生しない場合、デバッグ版ライブラリを使用してエラーコールバックが発生するか確認してください。
[備考]エラーコールバック関数の登録について
CRI製ライブラリはエラー処理に共通のCRI Errorを利用しており、エラーコールバック関数も共通となります。
エラーコールバック関数の登録を実行すると、新しいコールバック関数に置き換えられることに注意してください。

「起こり得るエラー」について

「致命的エラー」とは別に、ディスクの読み込みエラー等の「起こり得るエラー」があります。
CRI Atomライブラリでは、起こり得るエラーの検知には"ステータスのチェック"を使用します。

AtomExプレーヤ等、使用中にエラーが起き得るモジュールについては、 criAtomExPlayer_GetStatus 関数のような、ステータスを取得する関数が用意されています。
AtomExプレーヤで音声ファイルの再生を行った際に、指定されたファイルが存在しない場合や、リードエラーが起きて読み込みに失敗した場合、 criAtomExPlayer_GetStatus 関数が CRIATOMEXPLAYER_STATUS_ERROR を返します。
ユーザは定期的にAtomExプレーヤのステータスをチェックすることで、エラーの発生を検知することが可能です。

具体的なソースコードは、以下のようになります。
main()
{
:
/* 音声データをセット */
criAtomExPlayer_SetData(player, buffer, size);
/* セットされた音声データを再生 */
/* 再生完了待ち */
for (;;) {
/* ステータスの取得 */
status = criAtomExPlayer_GetStatus(player);
/* ステータスのチェック */
/* エラー発生時はエラー処理を行う */
:
}
/* サーバ処理の実行 */
/* 画面表示の更新等 */
:
}
:
}
void criAtomEx_ExecuteMain(void)
サーバー処理の実行
void criAtomExPlayer_SetData(CriAtomExPlayerHn player, void *buffer, CriSint32 size)
音声データのセット(オンメモリデータの指定)
CriAtomExPlayerStatus criAtomExPlayer_GetStatus(CriAtomExPlayerHn player)
ステータスの取得
CriAtomExPlaybackId criAtomExPlayer_Start(CriAtomExPlayerHn player)
再生の開始
@ CRIATOMEXPLAYER_STATUS_ERROR
Definition: cri_le_atom_ex.h:3677