CRI ADX  Last Updated: 2024-09-25 17:41 p
キュー再生(メモリ)


本チュートリアルでは、CRI Atomを使ってキューを再生する方法を説明します。

再生に必要なファイル

ランタイム側で必要なファイルは、ツールを使って作成したACFファイル(.*acf)、ACBファイル(.*acb)、AWBファイル(*.awb)と、同時に出力されるヘッダーファイル(*.h)です。 本チュートリアルでは、サンプルプログラムと同じデータを使用します。具体的には以下のファイルです。


本チュートリアルで使用するデータ
  * cri

  \ * common

    \ * smpdata

      \ * criatomex

        o * TutorialProject.acf

        o * tutorial.acb

        \ * tutorial.h

 

 

: チュートリアルプログラム

 

: ACFファイル

: ACBファイル

: ACBヘッダーファイル

 

プロジェクトファイルとソースコード

チュートリアルのプロジェクトファイルとソースコードは以下の場所にあります。


チュートリアルソースコードの場所
  * cri

  \ * pc

    \ * tutorials

      \ * criatomex

        \ * playback_cue

          o * pcvc

          | o * playback_cue.sln

          | o * playback_cue.vcxproj

          | \ * playback_cue.vcxproj.filters

          |  

          \ * playback_cue.c

 

[プラットフォーム固有]

: チュートリアルプログラム

 

: キュー再生チュートリアル

: プロジェクトファイルフォルダー

: Visual Studio ソリューションファイル

: Visual Studio プロジェクトファイル

: Visual Studio フィルターファイル

 

: キュー再生チュートリアル

 

プログラムの流れ

プログラムの流れを以下に示します。
  1. ヘッダーファイルのインクルード
  2. CRI Atomライブラリの初期化
  3. 必要なファイルのロード
  4. ボイスプールの作成
  5. AtomExプレーヤの作成
  6. 再生開始
  7. 再生終了待ちと内部状態の更新
  8. 終了処理
  9. 再生の確認
/* CRI SDK Header */
#include <cri_xpt.h>
/* CRI ADX Headers */
#include <cri_atom_ex.h>
#include <cri_atom_wasapi.h>
/* チュートリアルで使用するACBファイルのヘッダーファイル */
#include "../../../../common/smpdata/criatomex/tutorial.h"
/* データディレクトリへのパス */
#define PATH "..\\..\\..\\..\\..\\common\\smpdata\\criatomex\\"
/* サンプルで使用するファイル名 */
#define ACF_FILE "TutorialProject.acf"
#define ACB_FILE "tutorial.acb"
/* main関数 */
CriSint32 main(CriSint32 argc, CriChar8 *argv[])
{
UNUSED(argc);
UNUSED(argv);
/* 最低限の初期化 */
tutorial_initialize();
/* エラーコールバック関数の登録 */
criErr_SetCallback(tutorial_error_callback_func);
/* メモリアロケーターの登録 */
criAtomEx_SetUserAllocator(tutorial_alloc, tutorial_free, NULL);
/* ライブラリの初期化 */
/* ACFファイルの読み込みと登録 */
criAtomEx_RegisterAcfFile(NULL, PATH ACF_FILE, NULL, 0);
/* ACBファイルを読み込み、ACBハンドルを作成 */
acb_hn = criAtomExAcb_LoadAcbFile(NULL, PATH ACB_FILE, NULL, NULL, NULL, 0);
/* ボイスプールの作成 */
voice_pool = criAtomExVoicePool_AllocateStandardVoicePool(NULL, NULL, 0);
/* プレーヤの作成 */
player = criAtomExPlayer_Create(NULL, NULL, 0);
/* キューIDの指定 */
criAtomExPlayer_SetCueId(player, acb_hn, CRI_TUTORIAL_BOMB2);
/* 再生の開始 */
for(;;) {
CriAtomExPlayerStatus explayer_status;
tutorial_sleep(10);
/* サーバ処理の実行 */
/* Exプレーヤのステータス確認 */
explayer_status = criAtomExPlayer_GetStatus(player);
/* 再生が終了したらループを抜ける */
if (explayer_status == CRIATOMEXPLAYER_STATUS_PLAYEND) {
break;
}
}
/* Atomハンドルの破棄 */
/* ボイスプールの破棄 */
/* ACBハンドルの破棄 */
/* ACFの登録解除 */
/* ライブラリの終了 */
/* 最小限の終了処理*/
tutorial_finalize();
return 0;
}
CriAtomExAcbObj * CriAtomExAcbHn
ACBハンドル
Definition: cri_le_atom_ex.h:3037
CriAtomExAcbHn criAtomExAcb_LoadAcbFile(CriFsBinderHn acb_binder, const CriChar8 *acb_path, CriFsBinderHn awb_binder, const CriChar8 *awb_path, void *work, CriSint32 work_size)
ACBファイルのロード
void criAtomExAcb_Release(CriAtomExAcbHn acb_hn)
ACBハンドルのリリース
void criAtomEx_UnregisterAcf(void)
ACFの登録解除
void criAtomEx_ExecuteMain(void)
サーバー処理の実行
CriBool criAtomEx_RegisterAcfFile(CriFsBinderHn binder, const CriChar8 *path, void *work, CriSint32 work_size)
ACFファイルの登録
#define criAtomEx_SetUserAllocator(p_malloc_func, p_free_func, p_obj)
ユーザアロケーターの登録
Definition: cri_le_atom_ex.h:313
CriAtomExPlayerStatus criAtomExPlayer_GetStatus(CriAtomExPlayerHn player)
ステータスの取得
CriAtomExPlaybackId criAtomExPlayer_Start(CriAtomExPlayerHn player)
再生の開始
CriAtomExPlayerObj * CriAtomExPlayerHn
プレーヤーハンドル
Definition: cri_le_atom_ex.h:3628
CriAtomExPlayerHn criAtomExPlayer_Create(const CriAtomExPlayerConfig *config, void *work, CriSint32 work_size)
AtomExPlayerの作成
void criAtomExPlayer_Destroy(CriAtomExPlayerHn player)
AtomExプレーヤーの破棄
void criAtomExPlayer_SetCueId(CriAtomExPlayerHn player, CriAtomExAcbHn acb_hn, CriAtomExCueId id)
音声データのセット(キューID指定)
enum CriAtomExPlayerStatusTag CriAtomExPlayerStatus
プレーヤーステータス
@ CRIATOMEXPLAYER_STATUS_PLAYEND
Definition: cri_le_atom_ex.h:3676
CriAtomExVoicePoolHn criAtomExVoicePool_AllocateStandardVoicePool(const CriAtomExStandardVoicePoolConfig *config, void *work, CriSint32 work_size)
標準ボイスプールの作成
struct CriAtomExVoicePoolTag * CriAtomExVoicePoolHn
ボイスプールハンドル
Definition: cri_le_atom_ex.h:3224
void criAtomExVoicePool_Free(CriAtomExVoicePoolHn pool)
ボイスプールの破棄
void criAtomEx_Initialize_WASAPI(const CriAtomExConfig_WASAPI *config, void *work, CriSint32 work_size)
ライブラリの初期化
void criAtomEx_Finalize_WASAPI(void)
ライブラリの終了
void criErr_SetCallback(CriErrCbFunc cbf)
エラーコールバック関数の登録


プログラムの解説

各処理の詳細について説明します。


1.ヘッダーファイルのインクルード


/* CRI SDK Header */
#include <cri_xpt.h>
/* CRI ADX Headers */
#include <cri_atom_ex.h>
#include <cri_atom_wasapi.h>
/* チュートリアルで使用するACBファイルのヘッダーファイル */
#include "../../../../common/smpdata/criatomex/tutorial.h"


cri_xpt.hは、CRI独自の型定義等が記述されているので、一番最初にインクルードします。 他のヘッダーファイルについては、インクルードする順番に依存関係はありません。


cri_atom_ex.hは、CRI Atomの機能を使うためのAPIが宣言されたヘッダーファイルです。 必ずインクルードしてください。


toturial.hは、ACBファイル、AWBファイルのキュー情報が記述されたヘッダーファイルです。 再生するキューIDはこのヘッダーファイルに定数マクロ定義されています。


2.CRI Atomライブラリの初期化


/* エラーコールバック関数の登録 */
criErr_SetCallback(tutorial_error_callback_func);
/* メモリアロケーターの登録 */
criAtomEx_SetUserAllocator(tutorial_alloc, tutorial_free, NULL);
/* ライブラリの初期化 */


CRI Atomライブラリを初期化します。 本チュートリアルでは::criAtomEx_Initialize_WASAPI関数に指定するパラメーターを簡略化しています。 criAtomEx_Initialize_WASAPI 関数の第一引数は初期化パラメーターですが、NULLを指定するとデフォルト設定で初期化を行います。 criAtomEx_Initialize_WASAPI 関数の第二、第三引数は、初期化に必要なワーク領域を指定するパラメーターです。 メモリ確保関数を::criAtomEx_SetUserAllocator 関数で設定し、 ワーク領域へのポインタにNULL、ワークサイズに0を指定すると、::criAtomEx_Initialize_WASAPI 関数内部でワーク領域を動的に確保します。


3.必要なファイルのロード


/* ACFファイルの読み込みと登録 */
criAtomEx_RegisterAcfFile(NULL, PATH ACF_FILE, NULL, 0);
/* ACBファイルを読み込み、ACBハンドルを作成 */
acb_hn = criAtomExAcb_LoadAcbFile(NULL, PATH ACB_FILE, NULL, NULL, NULL, 0);


criAtomEx_RegisterAcfFile 関数を使用してACFファイルをランタイム側で読み込みます。 このファイルは環境設定ファイルです。 次に、::criAtomExAcb_LoadAcbFile 関数でACBファイルを読み込み、ハンドルを作成します。 ACBハンドルはキュー再生の際にプレーヤに指定します。
両関数ともワークサイズを指定する引数を取りますが、本チュートリアルでは簡略化のためにそれぞれNULL、0を指定しています。 NULL、0を指定することで、関数内部で動的にワーク領域を確保して使用します。


criAtomEx_RegisterAcfFile 関数、::criAtomExAcb_LoadAcbFile 関数は同期関数です。 criAtomExAcb_LoadAcbFile 関数の実行後は、ACBファイルのロードが完了し、 関数が成功していれば有効なACBハンドル(::CriAtomExAcbHn)が返ります。


本チュートリアルではエラー処理を省略していますが、::criAtomEx_RegisterAcfFile 関数、 criAtomExAcb_LoadAcbFile 関数は「ファイルがみつからない」といった理由で失敗することがあるため、 戻り値のチェックを推奨します。


4.ボイスプールの作成


/* ボイスプールの作成 */


標準ボイスプールを作成します。
第一引数はボイスプールの作成パラメーターですが、本チュートリアルでは省略します。 省略した場合、デフォルト値を使用してボイスプールを作成します。 一度生成したボイスプールはシステム側に登録され、キューを再生する際に自動的にプレーヤに割り当てられるようになります。
本チュートリアルではワークメモリを指定しません。 criAtomExVoicePool_AllocateStandardVoicePool 関数にワークメモリを指定しなかった場合(NULL指定、0サイズ)、 関数内部でメモリを動的に確保します。


5.AtomExプレーヤの作成


/* プレーヤの作成 */
player = criAtomExPlayer_Create(NULL, NULL, 0);


AtomExプレーヤ(以下、単にプレーヤと呼びます。)を作成します。
第一引数は作成パラメーターですが、本チュートリアルでは省略します。省略した場合、デフォルト値を使用してプレーヤを作成します。 プレーヤを作成するとプレーヤハンドル(::CriAtomExPlayerHn)が得られます。 プレーヤに対する様々な操作は、このプレーヤハンドルを介して行います。
本チュートリアルではワークメモリを指定しません。 criAtomExPlayer_Create 関数にワークメモリを指定しなかった場合(NULL指定、0サイズ)、 関数内部でメモリを動的に確保します。


6.再生開始


/* キューIDの指定 */
criAtomExPlayer_SetCueId(player, acb_hn, CRI_TUTORIAL_BOMB2);
/* 再生の開始 */


再生するキューを criAtomExPlayer_SetCueId 関数で指定し、::criAtomExPlayer_Start 関数で再生を開始します。 criAtomExPlayer_SetCueId 関数の第二引数には、ロード済みのACBハンドルを指定します。 第三引数には、ACB内のキューをID(整数値)で指定します。
プレーヤは、指定されたACBハンドルとキューIDを元に、ACB内のキューデータを再生します。 本チュートリアルで指定している CRI_TUTORIAL_BOMB2 は、tutorial.hで定義されています。
再生の開始は::criAtomExPlayer_Start 関数で行います。 criAtomExPlayer_Create 関数で作成したAtomプレーヤハンドルを指定します。


7.再生終了待ちと内部状態の更新


/* 再生ループ */
for(;;) {
CriAtomExPlayerStatus explayer_status;
tutorial_sleep(10);
/* サーバー処理の実行 */
/* Exプレーヤのステータス確認 */
explayer_status = criAtomExPlayer_GetStatus(player);
/* 再生が終了したらループを抜ける */
if (explayer_status == CRIATOMEXPLAYER_STATUS_PLAYEND) {
break;
}
}


criAtomExPlayer_GetStatus 関数でプレーヤの状態を取得し、 終了状態(::CRIATOMEXPLAYER_STATUS_PLAYEND)になったら再生ループを抜けます。 再生ループ内では、CRI Atomのサーバー処理関数である criAtomEx_ExecuteMain 関数を毎V呼びます。 毎V呼び出さないと音声データの読み込みが間に合わなくなり、音途切れの原因になります。


また、プレーヤの状態はCRI Atomのサーバー処理によって更新されるので、::criAtomEx_ExecuteMain 関数を呼び忘れないように注意してください。


8.終了処理


/* Atomハンドルの破棄 */
/* ボイスプールの破棄 */
/* ACBハンドルの破棄 */
/* ACFの登録解除 */
/* ライブラリの終了 */


アプリケーションの終了時には、各ハンドルをそれぞれ対応する関数で破棄します。 ハンドル作成時に動的確保されたワーク領域は、それぞれ対応するハンドル破棄関数内で解放されます。 最後に、::criAtomEx_Finalize_WASAPI 関数でライブラリ終了処理を実行します。


9.再生の確認


ここまでの作業で、キューを再生することはできたでしょうか? うまく再生できていれば、爆発音が鳴るはずです。