ループ方法を決める

ADX で波形ファイルをループ再生する方法は複数あり、それぞれ動作が異なります。 ここでは、ループ再生する方法を列挙します。

ループ設定方法一覧

波形ファイルに直接設定するループ

設定方法 説明
ループ情報の埋め込み 波形編集ソフトを使用してループ情報を埋め込む

CRI Atom Craftのマテリアルに設定するループ

設定方法 説明
ループ エンコード設定として波形のループ指定をする

CRI Atom Craftのキューに設定するループ

設定方法 説明
シーケンスループマーカー キューのシーケンサーを巻き戻す
自動繰り返し ウェーブフォームリージョンを繰り返して再生する回数を指定する
プレイリスト再生モード キューの再生が終了したら再度同じキューを再生する
ブロック キューのシーケンス情報をブロック単位で分割する

ランタイムで設定するループ

設定方法 説明
シームレス連結 異なるマテリアルを連結して再生する
回数指定ループ ループ情報のある波形について、ループ回数を指定する



目的ごとのループ再生方法(一例)

BGMをループ再生したい

設定方法 設定箇所 補足
ループ情報の波形埋め込み マテリアル 一つの波形を波形のループマーカーを参照して自動的に設定します。
ループ有効、ループ開始、ループ終了を指定 CRI Atom Craftのマテリアル 一つの波形をループ再生するようにマテリアルの設定を行います。
シームレス連結 ランタイム 複数の波形をランタイムでシームレス連結再生します。

使用するマテリアルを動的に変えながら、BGMをループ再生したい

設定方法 設定箇所 補足
ループ情報の波形埋め込み マテリアル 「セレクターによるトラック遷移」シーケンスタイプのキューを使用する
ループ有効、ループ開始、ループ終了を指定 CRI Atom Craftのマテリアル 「セレクターによるトラック遷移」シーケンスタイプのキューを使用する
ブロック CRI Atom Craftのキュー 複数のブロックを連続再生します。
シームレス連結 ランタイム 複数の波形をランタイムでシームレス連結再生します。

回数を指定してSEを連続再生したい

設定方法 設定箇所
シーケンスループマーカー CRI Atom Craftのキュー
自動繰り返し CRI Atom Craftのキュー(ウェーブフォームリージョン)

複数のマテリアルを同じように繰り返し再生したい

設定方法 設定箇所
シーケンスループマーカー CRI Atom Craftのキュー
プレイリスト再生モード CRI Atom Craftのキュー



波形ファイルに設定する

ループ情報の波形埋め込み

CRI Atom Craftに登録する波形ファイルにあらかじめループ情報を設定する方法です。 ループ情報の埋め込みには、波形編集ソフトを使用します。 波形ファイルをCRI Atom Craftに登録するとき、埋め込まれたループ情報は自動的に認識されます。 イントロ付きBGMループなどを得意とする設定です。 利点としては、以下のようなことが挙げられます。

  • 使い慣れている波形編集ソフトを使用した設定ができる。
  • 1サンプル単位での厳密なループになる。

CRI Atom Craftのマテリアルに設定する

ループ有効、ループ開始、ループ終了を指定

マテリアルに設定したループ情報は、波形ファイルをエンコードする際にエンコーダーに直接指定されます。

利点としては、以下のようなことが挙げられます。

  • CRI Atom Craft上の値のため、設定変更と再生確認のために異なるウィンドウを往復する必要が無い。
  • 1サンプル単位での厳密なループになる。

設定箇所については、「 ループの設定 」を参照してください。

CRI Atom Craftのキューに設定する

シーケンスループマーカー

シーケンスループマーカーは、キューのシーケンスに設置するマーカーです。 シーケンス時刻位置をループエンドマーカーからループスタートマーカーまで指定した回数巻き戻します。

利点としては、以下のようなことが挙げられます。

  • 回数を指定したループができる。
  • 複数トラック・複数の波形ファイルを使用した複雑なループ設定を作れる。
  • サブシーケンス と併用することで、ランダムなどインタラクティブ要素を含んだループを作れる。

シーケンスループマーカーの詳細については、「 シーケンスループマーカー 」を参照してください。 【注意】 シーケンスループマーカーは「シーケンスの」時刻位置を巻き戻す機能です。 このため、ウェーブフォームリージョンをまたぐ設定を行う場合は注意が必要です。

craftv2_tips_decide_loop_marker01.png

上図のように、ウェーブフォームリージョンの途中にループスタートマーカーを設置した場合、ループ中で波形は途中再生されません。 「gun」ウェーブフォームリージョンに対する再生呼び出しは、シーケンス時刻が1.000秒のときに行われます。 このため、シーケンスループマーカーが1.400~2.000秒の間で組まれていると、ループ中に再度再生呼び出しが行われることはありません。

craftv2_tips_decide_loop_marker02.png

上図のように、ウェーブフォームリージョンの途中にループエンドマーカーを設置した場合、波形が途中で停止することはありません。 シーケンス時刻が0.800~1.400秒の間をループするので、時刻が1.000秒にきたときに「gun」の再生呼び出しを行う、ということを繰り返します。

自動繰り返し

自動繰り返しは、繰り返し再生する回数を指定するためのウェーブフォームリージョンの値です。

craftv2_tips_decide_loop_repeat01.png

利点としては、以下のようなことが挙げられます。

  • ウェーブフォームリージョンの値のため、特定のキュー・特定の条件下でのみループしたいときに設定しやすい。
  • 「再生タイミングランダム」と併用することで、再生間隔に揺らぎを持ったループをシンプルに設定できる。

設定箇所については、「 ウェーブフォームリージョン 」を参照してください。

プレイリスト再生モード

プレイリスト再生モードは、キューの再生が終わった後に再度再生するかどうかを指定する値です。 利点としては、以下のようなことが挙げられます。

  • シーケンシャルタイプやランダムタイプのキューとの相性が良い。
  • 長さの異なる複数のマテリアルでも、再生が終了したら次の波形を鳴らす、というループの作成にきわめて有用。

設定箇所については、「 キュー 」を参照してください。

ブロック

ブロックは、キューのシーケンスをフレーズ(ブロック)単位で分割し、フレーズをループさせたり別のフレーズへ遷移させたりする機能です。

criatom_tools_atomcraft_block.png

利点としては、以下のようなことが挙げられます。

  • 繰り返しの多い音楽との相性が良い。
  • 「別のブロックへと遷移するときにのみ鳴らす音」を指定することができる。
  • タイムライン上での編集・プレビュー機能が充実している。

ブロックの詳細については、「 ブロック再生 」を参照してください。

ランタイムで指定する

CRI Atom Craftでデータ側にループ設定をするのではなく、ランタイム上で実行時にループ設定を行う方法もあります。

シームレス連結

ADX ライブラリには、複数の異なる波形ファイルを連結して再生する「シームレス連結再生」機能があります。 利点としては、以下のようなことが挙げられます。

  • 1サンプル単位での厳密なループになる。
  • 連結時のファイルの選択などを全てプログラミングで行うことができる。

詳細はライブラリマニュアルの「シームレス連結再生」([CRI ADX マニュアル] → [CRI Atomライブラリについて] → [サンプル] → [サンプルプログラム一覧] → [シームレス連結再生])を参照してください。

回数指定ループ

回数指定ループは、ループ指定されたデータについて、そのループ回数をライブラリで指定する機能です。 ループ設定が有効になっている必要があります。 厳密には「ループを作る機能」ではないですが、ループ情報の埋め込まれたエンコード済み波形ファイルについて、そのループ再生回数を変更したり、ループせず単音再生するようにしたりできます。 利点としては、以下のようなことが挙げられます。

  • アウトロ付きのループを作ることができる。

API名は「criAtomExPlayer_LimitLoopCount」です。詳細はライブラリマニュアルを参照してください。