オブジェクトベース再生は、モノラル音声とその位置情報を使用して再生を行う機能です。
オブジェクトベース再生は従来の3Dポジショニングと同じく、ソースとリスナーの座標から計算した音源の位置情報を使用します。
しかしオブジェクトベース再生は3Dポジショニングとは違い、ADX内で5.1chや7.1chなどマルチチャンネル音声への変換(パンニング)、及びミキシングを行いません。 (ソフトウェアバイノーラライザー使用時は ADX 出力の最終段にある Spatializer にて変換処理などが行われます。)
ここでは、マテリアルへのオブジェクトベースオーディオ再生指定方法と、それを使用したキューの作成とプレビューついて説明します。
オブジェクトベースオーディオは通常のチャンネルベースと再生時のレンダリングパスが異なるため、専用のミキサー(ASR ラック)を使用して出力します。
このため、オブジェクトベースオーディオとして再生するマテリアルには、オブジェクトベースオーディオ方式の再生設定が必要となります。
オブジェクトベースオーディオ方式の再生設定は、マテリアルの出力ポート項目にて行います。
次のように、マテリアルの出力ポートを「_object_based_audio」 に設定します。
項目 | 設定 |
---|---|
出力ポート | _object_based_audio に変更 |
マテリアルの設定 で「_object_based_audio」を設定すると、全体設定の出力ポートに、次の「オブジェクトベースオーディオ」専用の 出力ポート が自動で作成されます。
オブジェクトベースオーディオ専用出力ポート名 |
---|
_object_based_audio |
オブジェクトベースオーディオ出力ポート用の設定項目
オブジェクトベースオーディオ用の出力ポートには、次の項目があります。
項目 | 値 | 説明 |
---|---|---|
専用のミキサーを使用する | True (編集不可) | 専用のミキサーで処理を行うかどうかを設定します。 オブジェクトベースオーディオ再生では、常にメインのミキサー(チャンネルベース)とは異なる専用のミキサーで処理が行われます。 |
フォールバックの振る舞い | 再生しない / メイン出力でフォールバック再生する / 専用出力でフォールバック再生する | オブジェクトベースオーディオとして再生する環境が整っていない場合や、発音リミットに達した場合など、オブジェクトベースオーディオ再生をフォールバック再生する時の振る舞いを設定します。 |
オブジェクトベースオーディオ用に設定したマテリアルをキューシートにドラッグ&ドロップすると、オブジェクトベースオーディオとしてマテリアルを再生するキューが作成されます。
(キューにドラッグ&ドロップすると、オブジェクトベースオーディオとしてマテリアルを再生するトラックが作成されます。)
このとき、マテリアルに設定してある出力ポート設定がトラックにの出力ポート設定に自動反映されます。
オブジェクトベースオーディオのレベルメーター表示
オブジェクトベースオーディオ再生している音は、OBA の記載がある専用のレベルメーターに表示されます。
レベルメーターに表示されるグラフ数は、オブジェクトベースオーディオで再生している音声数となります。
(現状は仕様で最大 16 音となります。16 音を超えて再生しフォールバックした場合、チャンネルベース用のレベルメーターが反応します。)
ヘッドフォン環境でのプレビュー
ソフトウェアバイノーラライザー 設定時にヘッドフォン環境でオブジェクトベースオーディオのプレビューを行う場合は、PCプレビューのスピーカー設定 で「バイノーラルで再生する」を有効にしてください。
出力が機種共通となるソフトウェア処理ではなく、プラットフォームに搭載された機能を使用してオブジェクトベースオーディオ再生をする場合、プロジェクトの共通設定 の「OBA・Ambisonicsのプラットフォーム支援機能」を有効にしてください。
ソフトウェアバイノーラライザー 設定を併用した場合、、ソフトウェアバイノーラライザーを ON にするとハードウェア機能ではなくソフトウェアバイノーラライザーが動作することに注意してください。
プラットフォームに搭載されたオブジェクトベースオーディオ再生機能のみを使用したい場合は、ソフトウェアバイノーラライザーの設定は「使用しない」が推奨です。